おほよそ衣に三種あり。一者(イチニハ)糞掃衣、二者(ニニハ)毳衣(セイエ)、三者(サンニハ)衲衣(ノウエ)なり。
 糞掃は、さきにしめすがごとし。
 毳衣者(セイエハ)、鳥獣細毛、これをなづけて毳(セイ)とす。行者若(モ)し糞掃の得べき無きには、之を取って衣と為(ナ)す。
 衲衣とは、朽故破弊したるを、縫衲して身に供(クウ)ず。
 世間の好衣
(コウエ)を著(ヂャク)せず。

 

【現代語訳】
 およそ衣(袈裟)には三種類があり、一には糞掃衣、二には毳衣、三には衲衣です。
 糞掃衣については、先に説いた通りです。
 毳衣とは、鳥獣の細い毛を織ったもので、この織物を「毳」と言います。修行者が、もし糞掃衣を得られない場合は、これを選んで衣にします。
 衲衣とは、着古して破れた布をつづり合わせて身に着ける衣のことです。
 世間の美しい服は着ないのです。
 

《ここは袈裟の材料の話です。
 糞掃衣については第十一章2節に詳しくあって、そこではぼろ切れになった事情によって分類されていました。前章の材質による分類で言えば、麤布、細布、絹素、綾羅がそれに当たるでしょう。その詳細は、さらに後で、第三十三章で説かれます(やはり、ひとまとめに話してもらえるとよかった、と思います)。
 前章の最後に出ていた皮袈裟は、ここで動物の毛を使ったものを「毳衣」と呼んで別に挙げているところを見ると、あるいはここにはいるのでしょうか。
 「衣」は、「糞掃衣」とどう違うのでしょうか。よく分かりません。
 なお、このあたりの章の区切り方は、内容のまとまりを考えて、勝手ながら原典サイト『試み』とは大きく変えています。